安城の家
子育てを終えた夫妻の家である。ご主人はついこの間勤めを
終えられ、自由な時間を楽しんでいる。音楽好きで、ピアノ
も弾くので、リスニングルームを兼ねた書斎が欲しい。奥さ
んは絵を画いたり、焼き物をしたり、野菜を作ったり、草花
の手入れにも余念がない。私が以前設計した住宅を偶然見つ
け、気に入られたのがことの始まりであった。シンプルな切
妻の軒を大きく出し、濡れ縁で庭との行き来を容易にしてい
る。木組みをインテリアにあらわし、居間・食堂・台所・寝
室を一つながりの空間としている。寝室だけを建具で仕切る、
通風を意識した間取りである。建具は引き込み式で、雨戸・
網戸・ガラス戸・障子に巻き上げ式の簾を加え、開口部の表
情は状況に応じて多様に変化する。建具を全開にした時の南
北に抜ける風が心地良い。内部の建具も杉の無垢材を多用し、
(舞良戸)どこか懐かしく、清々しい空間に仕上がっている。
09' すまいる愛知住宅賞